《MUMEI》

「なんだよ皆!!
バカじゃね〜のこんなの真に受けて!!」


僕は電話もメールも無視し続けた。


だって嘘だもん。


嘘だもん…








piriririri!!
piriririri!!









『着信:古田翔太』









「翔太!?」


ホラ見ろ!!


僕の言った通りじゃん!!


「もしもし翔太!?」


僕は急いで電話に出た。








「…」









「翔太?」










「…クロ…さん?」









翔太の声じゃない…


電話の主の声は小さくて、


酷く頼りなくて、


涙で震えていた。


だけどわかった。









「…理紗ちゃん?」










「…クロさん、
あたし…
あたし…」










その声を聞いた時、


一気に涙が溢れてきた…。









「…今どこにいるの?」


僕が泣いてるのもバレてたかな?


ごめんね。


僕を頼って電話してくれたのに…。


「…中央病院です。


…あたし、


家で待ってたら、


警察の人が来て…」


「…わかった。
ずぐに…」


ダメだ…


上手く声が出ないや…


「すぐに行くから待ってて!!」


体のあらゆるところから力を振り絞ってそう言った。


電話を切り、


少し泣いた…。


でも、


いつまで待っても涙は止まりそうにないから、


僕は車の鍵を持って家を飛び出した。

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