《MUMEI》

視界が悪い。


雨のせいと、


外が暗いせいで上手く運転できない。


おかしいな?


どんなにワイパー動かしても、


視界がずっと悪いままだ。


僕はまず、


ヤマの家に向かった。


僕も、


1人でいるのが不安だったから…



















ヤマの家の前に車を止めて、


ヤマを呼んだ。









がちゃ…









「ヤマ!!
早く乗って!!
病院行こう!!」


あまりに説明が不十分だったけど、


ヤマは状況を理解していた。


「…うん。」


ヤマが家を出ようとした時だった。


「待ちなさい。」


ヤマのお母さんが、


僕たちを引き止める。


「今タクシー呼んだから、
そっちで行きなさい。
車は置いてっていいから。」


「急いでるんです!!」


泣きながら僕はそう叫んだ。


「…そんな状態じゃまともに運転できないでしょ。
いいからタクシーで行きなさい。」


「…」
「…」


それ以上何も言えなかった。


この時はそうは思えなかったけど、


後になってから大人って凄いなってことを実感した。

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