《MUMEI》

しばらく経つとタクシーが来た。


その間僕は何も言わず、


ただただ泣いていた。


ヤマは必死に涙をこらえていた。


強いな…


ヤマは…。


タクシーの中でも僕たちは何も言葉を交わさず、


早く病院に着くことを願った。


心のどこかで思っていた。


『全部嘘であってくれないかな…』


って。


病院に着き、


タクシーを降りた。


走って病院内へ。


看護婦さんに事情を話して、


場所を聞いた。


急いでそこに向かうと、


床に倒れこみ、


椅子と手で顔を隠して泣いている理紗ちゃんがいた…。


説明は何もいらなかった。


ただそれだけで、


嘘じゃないことがわかったから…。

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