《MUMEI》

こんなの…


こんなのってありかよ…


「クロさん…」


理紗ちゃんが顔を上げて僕を見た。


そんな顔されたら…


僕どうしたらいいかわかんないよ…


「翔ちゃんが…
翔ちゃんが…」


どんなに頑張って顔を引き締めても、


涙は止まらない…。


ねぇ母さん?


母さんは言ったよね?


『人が死ぬのは当たり前のこと』


そう言ったよね?


でもさ?


何でかな…


わかってる…


わかってるんだけど…










「こんなの納得できないよ!!」









病院内に僕の声が響き渡る。


理紗ちゃんはひたすら泣いて、


ヤマは僕にこう言った。










「納得なんてしなくてい〜よ…
それがクロの気持ちだろ…。」










止まることのない涙。


僕たちは動こうとしない理紗ちゃんをタクシーに乗せ、


ヤマの家に向かった。


皆に話すのが辛かった…。


あいつらはさっき翔太に会っていたらしく、


信じられないと泣いていた。


理紗ちゃんはアパートに帰るのを嫌がった。


その日は仕方なくヤマの家に泊まった。


僕は帰ろうとしたが、


ヤマのお母さんに止められ、


僕も泊まった。


僕と理紗ちゃんはひたすら泣いていた。


眠れるはずもなかった。


一晩中泣いても涙は枯れなかった…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫