《MUMEI》 繁華街義仲の背中の上で揺られながら、わたしは道路の右側を見た。 キャバクラ、パブ、デートクラブ…。 続いて左側を見る。 ショットバー、ソープランド、ホストクラブ…。 …………どう考えても、高校生が立ち寄れる店は、どこにもない。 「…ねぇ」 わたしは義仲に声をかけた。彼は振り返ることなく、なに?と、いたって平然と答える。 わたしは半眼で彼の後頭部を睨んだ。 「こんなトコロに、ホントに知り合いがいるの……?」 その言葉に義仲が肩越しに振り返る。 「いるよ、もう少し先に」 …………先? わたしは顔をあげ、正面を見た。 そして、青ざめる。 目と鼻の先に、ホテル街が悠然と構えていた。 . 前へ |次へ |
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