《MUMEI》

嫌な予感が胸を渦巻き、わたしは義仲の耳元に顔を寄せた。


「まさか、知り合いって……」


言いかけたわたしに、義仲は振り向き、頷いた。


「そう、あのひと。ゆうこママっつーの」


義仲の呑気すぎる言葉に、わたしはめまいがした。




…………知り合いって…知り合いって、


よりによって、このオカマかよッ!!




オカマは女の子走りでこちらに近寄り、義仲の顔を、至近距離でじっと見つめた。熱い視線だった。


「んもう、オトコまえになっちゃってェ!ママ、見違えちゃったわよォ!!」


つんつん☆と、義仲の肩をつっついた。なぜか、それを目の当たりにしたわたしがゾワッとする。鳥肌が立ったまま、ひかない。当の義仲はいたって普通に、ママは相変わらずだね、とニッコリした。




………なんなの、こいつら!?

普通じゃないだろっ!?




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