《MUMEI》 真星の良いところ〜麗羅視点〜 海が包みを受け取ったのを確認し、ホッと胸をなで下ろす。 「ありがとう」 「今日、栄実の家行くんだよね?」 海の確認に私は、コクリと頷く。 「了解!じゃあまた後で」 っと言って自分の席に向かう海の背中を見届け、真星が待つ席へ戻る。 「青浜くん、美味しいって言ってくれて良かったね」 笑顔で話かける真星に、微笑む。 「正直、麗羅のした失敗聞いて笑っちゃったけどさ・・・ なんか私も久しぶりにお菓子作りたくなっちゃった! 作ったら麗羅にあげるからね」 くしゃっと子どもみたいに笑い、はしゃぐ真星を可愛いなっと思った。 「ありがとう。 作ったら幼なじみの子にもあげるの?」 "幼なじみが甘い物好きでよく作ってたんだ" 昨日真星が言ってた言葉を思い出し質問する。 私の質問に真星の笑顔が曇る。 聞かれたくなかったのかな?っと真星の表情を見て気付いた私はすぐに謝る。 「ごめ「あげないよ・・・。渡しても多分・・・ 貰ってくれないから」 謝る私の声を遮って、真星の消えそうな声が私に届く。 私は真星の顔をまっすぐ見つめる。 「ごめん。暗くさせちゃつた?」 そう言って真星は切なそうに笑った。 私は思わず真星の手を取り、頭を横に振る。 「話してくれて嬉しいよ! 私、今まで仲の良い友達とか居なかったから、雰囲気とか読めなくて傷付けちゃう時もあると思うけど・・・ いつでも話聞くから!」 あれ?何か日本語可笑しいな・・・ 空気も読めないし、口も巧くないし・・・ 私が落ち込んでいると真星が私の手を握り返す。 それに驚き顔を上げると、とても優しげに微笑む真星の視線とぶつかった。 「ありがとう・・・! そんな風に言ってくれるとは思わなかった」 そう言った真星の目は、少し潤んでいた。 真星は、下手くそな言葉でもいつもちゃんと受け取ってくれる。 真星と初めて話した日も思ったけど、言葉足らずな私の気持ちをいつも汲み取ってくれる。 こういうところ知ったら絶対みんな真星のこと好きになるのに! 真星と再び目が合い、どちらかともなく笑い始めた。 前へ |次へ |
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