《MUMEI》

もうちょっとで家着くな──。





うーん‥。





何だろ、よく分かんないけど‥。




帰りたくないなぁ‥。





手──放して欲しくないなぁ‥。





だって海──私の彼氏だし。





私の王子様だし。





だから‥‥‥ずっと‥。





「‥?」

「──何となく」

「‥は?」

「ギュってしてみたかったの、何となく──」

「‥ふーん」





呟いて、海が私の手を握り返してきた。





やっぱ手、おっきいなぁ──。

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