《MUMEI》
決着
血塗れで対峙する者どもがいた。片や光り輝く大剣を構えた、髭をたくわえた初老の男。片や黒銀の大鎌を担いだ、耳の尖った皺だらけの翁。満身創痍で体の自由がきかない中でも、2人の瞳から闘志と憎悪の炎は消えていなかった。
「汚物どもの王よ! 次で幕としようではないか! これ以上貴様の面を拝むのは御免である!!」
「それは余の台詞じゃ! 余とて貴様の面など見とうないわっ! 下等種どもの王よ!!」
互いを罵りつつ定められた決着の時。態度には出さないが、双方緊張を高めていく。やがて膠着状態になり、刻一刻と時間は過ぎていく。それからどれほど経ったか分からぬほどの時が過ぎた時、唐突に終わりは訪れた。崩れ、瓦礫となったかつての柱の小さな一片が、永い静寂に堪えかねたかのように転がり落ちたのだ。
カツンッ――
軽い音の一瞬後、鮮血が舞った。そしてゆっくりと崩れ落ちる人影。果たしてそれは2人が望んだ結末だったのか。そう問われれば答えは否。決着の場に、動くものは何一つ存在しなかった。

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