《MUMEI》
優しい魔族の少年
薄汚れた外套に身を包んだ男が歩いていた。行き先は前方の街。休めることが嬉しいのか、目深に被ったフードの下に覗く顔は綻んでいる。自然と歩く速度は上がり、最終的には小走りになっていた。やがて到着した門で当然の如く門番に止められる。
「止まれ! 荷物を確認させてもら……!?」
門番が言い終わる前に男は懐から出した短刀を見せつけた。門番は一瞬驚いた後、納得がいっていないような、憮然とした顔で男を通した。その失礼な態度を気にも留めずに、いや仕方ないといった雰囲気で男は街に入っていく。もう1人の門番は同僚の不思議な行動に首を傾げた。
「どうした? あいつが何だというんだ」
「……皇竜の刻印」
一見答えになっていないような答えだが伝わったようだ。もう1人の門番は、忌々しげに舌打ちするとこう吐き捨てた。
「汚物が……ついに来やがった……」
正に汚物を見るような目で先ほどの男を見送るのだった。

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