《MUMEI》
恐怖の朝
《で、そのまま寝たと?》


「ごめんなさいぃぃ!!」


携帯越しに叫ぶ俺を、朝食を作る祐は止めなかった。


それどころか、ニヤニヤしながら面白そうに見ていた。


(くそ、祐のやつ…)


俺は祐との会話に夢中になり、そのまま


忍に報告しないまま、寝てしまったのだった。


「お前も謝れ!」

「え〜、仕方ないな〜、もしもし、忍さん? おっはー、忍さんて誕生日いつ?」

「な、何でそうなる!」


俺は祐に携帯を向けた事を悔やんだ。


「へー、近いじゃん! じゃあさーその日そっちに祐也送るから許して?」

「ちょ、祐!?」


(何だ『そっち』て!)


忍がいる春日家の屋敷に俺がいけるはずはない。


「返せ! 早く!!」

「あ〜、うん。俺そこまでの時間調べて祐也に教えるよ。

いーのいーの、祐也と一晩過ごしちゃったし」


祐は狭い室内にも関わらず、追いかける俺から器用に逃げつつ会話を続けた。


「当日の服装リクエストあったら志貴に協力させるよ? うん…

おー、いいね!

んじゃ!」

「切んな、バカ!」


「バカはお前等だ〜!!」

「「…ん?」」

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