《MUMEI》
説教後
一時間に及ぶ説教が終わると、三人は『くれぐれも静かにするように』と言って屋代さんの部屋に入っていった。


そのすぐ後に、扉を開ける音がしたから、多分仲村さんと志穂さんは、屋代さんを寝かせる為に帰ったのだろう。


「怒られちゃったな〜」

「仕方ない」


三人で出かける計画を、俺と祐が潰したのだから。


(それにしても…)


「本当に、仲いいよな、あの三人」


仲村さんと志穂さんの息子の祐に言う事ではないかと思ったが、俺はつい素直な感想を口にした。


「まあな。祐希がいたから俺がいるくらいだし?」


祐は気にする様子もなく、笑顔だった。


(そういえば、志穂さんの妊娠中にフォローしたって忍が前言ってたっけ…)


「よし、祐也、朝食食べるぞ。それで、案内書いて、アパート帰るからな」

「…案内?」


県外のアパートにもう帰るのかという気持ちもあったが、そっちの方が気になった。


「ちゃーんと、今を楽しめよ」


祐は満面の笑みを浮かべた。


(嫌な予感がする…)


未だにしびれている足をさすりながら、俺は不安になった。

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