《MUMEI》
ゆうこママの人柄
義仲はめずらしく素直に、はぁ〜い、とだるそうに返事をして、のろのろとソファーから立ち上がり、カウンターの方へ行った。

ゆうこママは義仲が座っていたところに腰掛けると、わたしの顔を見た。


「ちょっと足、見せて」


優しい声だったので、わたしは素直に足を出す。ゆうこママは太い指で、そっとわたしの足に触れ、腫れ具合を確認し、顔をしかめた。


「おもったよりもヒドそうね。骨に異常がなければいいけど……」


独り言を呟きながら、丁寧にシップを貼ってくれた。さらにシップが剥がれないように、その上にネットをつけてくれる。


「これしか出来ないけど、なにもしないよりマシでしょ?あとでちゃんと病院に行きなさいよ」


親身になって言ってくれているのがよくわかった。胸の奥が、ジーン…と痺れる。




………なんだ。


結構、いいヒトじゃん。

キモいけど。




.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫