《MUMEI》

 飛行機に乗り込んだのは、ギリギリだった。




「はーっ‥危なッ‥」

「でも何とか間に合ったね──」

「‥ぁぁ‥」

「──さてっ、八ツ橋食べる?」

「‥何‥?」

「余分に買っといたからさ、三人で食べようよっ。ねっ♪」

「───────」




 私もアゲハ君も、ぽかんとしていた。




 ミドリはそんな事には気付かずに、箱の包み紙を剥し始める。





 そうこうしている内に、飛行機が滑走路を滑り出した。




 あっという間に、上空。 窓から下を見たら‥‥‥あの丘が、目に飛び込んできた。

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