《MUMEI》

「サクヤー?」

「──────」

「‥何か‥見えるのか」

「丘──」

「ぁぁ‥‥‥本当だ」

「来た時全然気付かなかったよね──」

「うん‥」

「──落ち込む事は無い、また来ようと言ったのは君だろう?」




 アゲハ君が、困ったように笑う。




「ほら、君も」

「ありがとう──」




 その八ツ橋は、涙のせいか──ちょっぴりしょっぱい味がした。

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