《MUMEI》

「‥‥‥よし、準備は整った」




「ねぇ、やっぱり止め‥」




「紫苑、お前は今の毎日に疲れておるのだろう?」




「そうだけど‥」




「始めるぞ」




「うん‥」




 もう、後には引けない紫苑。




「───────」




 二人は陣の中に立ち、呪(まじな)いを唱え始めた。




 ‥すると。





 陣が、淡く光り出した。




 次第に光は強さを増し、風が渦を巻き始める。




「桜‥っ」




 紫苑が怯えたように、桜の袖にしがみつく。




 だが、直後。




 ぷっつりと、意識が途切れた。

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