《MUMEI》 「‥‥‥‥‥‥?」 薄目を開けた、紫苑。 だが、傍らにあったのは桜ではなく──己の体であった。 「ぇ‥」 動揺しながらも、記憶を辿ってみる。 そして、思い出した。 「術──」 紫苑はようやく、あの術が、成功したのだと知った。 「桜っ、桜起きてっ」 「‥‥‥‥‥ん‥」 目を覚ますなり、桜は眼(まなこ)を見開いた。 目の前には、自分の姿。 だがすぐに、事の次第を悟った。 「紫苑‥か‥?」 前へ |次へ |
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