《MUMEI》 「何をだ‥?」 桜は、紫苑から白栩が自分の薬師である、という事は聞いていたのだが、詳しい事は知らない。 白栩も、今目の前にいるのが桜であるとは気付いていない。 「すまん──色々と‥忙しくてな」 いえいえ、と白栩はにこやかに言う。 「本日は、お薬をお届けに上がったのでございます」 「薬‥?」 「左様でございます」 「待て、私は──」 言いかけて、口を噤む。 今、自分は紫苑なのだ。拒んでは、怪しまれてしまう。 「ご苦労だった、白栩。蓮宮(はすのみや)に渡しておいてもらえるか」 「承知致しました」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |