《MUMEI》

 ひらひらと舞う、桜の花びら。




 あの頃を思い出す。




 この色を見る度に、浮かんでくる。





「やはりあの桜の方が綺麗だな──」

「──ふふっ──アゲハ君こっちに戻って来てからずっとそう言ってるよね」

「ん‥‥‥言われてみれば‥そう‥だな──」

「でもほんとに綺麗だったよね、あの桜」

「ぁぁ──」

「──ねぇ?」


「ん」


「最近‥夢、見る?」

「夢‥?」

「私ね──京都に行って来てからあの夢見なくなったんだ──」

「君もか‥?」

「ぇ‥アゲハ君も‥?」

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