《MUMEI》

「ぁ‥ぃぇ‥」




 ちらり、と菊宮の方を見てから、紫苑は再び草子の文字を追う。




(ちょっとまだ慣れないけど──ずっと草子を読んだりしていられるのは楽しいなぁ)




 紫苑は、蹴毬よりもこうやって読書をしていた方が落ち着くのだ。




 桜とは、対照的だ。




 今、自分が桜となっている事を、紫苑はこの上なく嬉しく思っていた。




「姫様──何か良い事でも?」




 静寂の中、菊宮が切り出したので──紫苑は、びくっ、と肩を上げた。

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