《MUMEI》

◇◇◇




『綺麗ですね──桜──』

『──うづき』

『ぇ』

『──その花は』

『‥ぁ‥‥‥売れ残ってしまって‥』

『──幾らだ』

『はい‥?』

『幾らだ、全部で』

『あの‥‥‥』

『丁度飾る花が欲しいと思っていた所だ──。貰おう‥全部』

『黄羽‥様‥?』




 ──全部。 黄羽様は買ってくれた。




 その日だけじゃない。 来る度、必ず。




 本当は、そんなに花はいらないはずなのに──一本残らず買ってくれた──。




◇◇◇

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫