《MUMEI》
「それじゃあ、生きているとは言えないんだ。」
「人はただ生きているだけじゃ、生きているとは言えない。そこが動物と違うところだ。」
「人は外に出ていかないといけない。世界を見なくちゃいけない。そして、世界に関わらなくちゃいけないんだ。」
「涙に濡れる夜もあるだろう。その心に殺意を灯す日も来るかもしれない。絶望と後悔に明け暮れる可能性もある。しかし、それが生きるって事だ。」
「そして、それを乗り越えた時に、世界をもう一度みるんだ。その時、世界はやっと美しく見える。残酷さを孕み、悪意を放つ世界だが、それ故に美しいのだ。」
「だけど…、乗り越えられなかったら…?私みたいな臆病者にはムリだよ…。」
不安げに言うリン。迷子のようなその瞳。
「だから、オレたちがいる。一緒に世界を見るんだ。そして、楽しいことや嬉しいこと、大切なことを見つけるんだ。どうだ?ワクワクするだろ?」
その迷子の手を取る。手を取ったオレたちも迷子さ。でも、3人なら大丈夫。
「うん!」
こうしてリンが仲間に入った。
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