《MUMEI》

「‥ん‥」




 桜が目を覚ました時、目の前に、にっこりと笑みを浮かべた幼女の顔があった。




「なっ‥!?」




「久し振りなのだ、紫苑の君っ」




 彼女は、妖月(ようげつ)。 紙術師、と名乗る黒狐だ。尤も‥普段は人に化けている為、彼女が狐であると知っているのは桜と紫苑位なのだが。




 妖月は紫苑達に懐いていて、時折内裏に遊びに来る。




「紫苑の君っ、紫苑の君っ、蹴毬で一緒に遊ぶのだっ」




 寝起きの桜の枕元で、ぴょこぴょこと忙しなく跳ねる妖月。




 桜は、仕方なく起き上がる。




「ずっと此処にいたのか‥?」




「いや、少し前からだが──お休みのようだったから待っていたのだ」




 笑みを絶やさずに言いながら、妖月は桜の手を引いた。




「おお、そうだ。桜の姫はどうしているのだ?」

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