《MUMEI》

「…?」


「俺…」


「…なんだよ?」


「俺昨日会ったんだ。
皆と合流する前、
翔太さんに…。」


「…それで、
どうしたんすか?」


「そん時…
聖龍高校のスタメンとか言ってるヤツがいて…」


「うん。」


「赤高じゃ決勝になんかいけね〜みたいなこと言われて…」


「…だからなんだよ。」


「その後翔太さんに言われたんだ…。」


「…なんてですか?」


「…絶対負けんなよって。」


「…」


「…」


「…それで?」


「その…
だから…」


「…なんだよ?」


「…練習しよ〜ぜ。」


「…」


「…」


誰も何も答えなかった。


しかし、


「…」


村木が立ち上がり、


着替えを始めた。


「…だな。」


「…はい。」


ゆっくりとだが、


全員立ち上がった。


「しゃ〜!!
気合い入れてくぞ!!」


ユキヒロがそう言った。


「おぅ!!」


全員がそれに答える。


その様子を、


部室の前で安本と佑香が聞いていた。


「なによ…」


佑香は泣いていた。


「あたしの時には返事してくれなかったのに!!」


そして涙を拭いて、


ドリンクを作りに走っていった。


(…強いな。)

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