《MUMEI》

夜。


いつのまにか泣き疲れて眠ってたみたいだ。


今日は行けそうにない。


バイト先にはそう伝えていた。


誰とも会いたくなかったんだ。


できることならもう一生誰とも会いたくない。


そんな気分だった。


しばらくぼーっとしていた。


何がなんだかわからず、


ただただ天井を眺めていた。


ご飯も食べたくない。


もう何もかもが嫌になってた。










piriririri!!
piriririri!!









携帯が鳴った。


誰からの着信かも確かめず、


僕は電話を取った。


「…はい?」


「…小太郎?
…少しは落ち着いた?」


美紀からだ。


「…少しはね。」


「そっか…
よかった…。」


「…ごめんな。」


「え?」


「心配かけて…」


「ううん…
しょうがないよ…」


「…」


「小太郎?」


「ん?」


「…明日でしょ?
翔太くんのお葬式。」


「…うん。」


「あたしも行っていい?」


「…いいと思うよ。」


「…そっか。
じゃああたしも行くね。」


「うん…。
迎え行くから。」


「うん…。」


「翔太の実家遠いから、
結構朝早いよ。
理紗ちゃんとも待ち合わせしてるし。」


「…わかった。」


「じゃあ…
時間とかはまたメールする。」


「うん…。
今日はゆっくり休んでね。」


「うん。」


「…」


「…」


「じゃあ…」


「美紀。」


「え?」


「…電話ありがと。
ちょっと元気出た。」


「…ううん。
大丈夫。
じゃあ、
また明日ね。」


「うん。
メールするから。」

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