《MUMEI》 「ぁぁ、彼‥‥‥彼女なら恐らく草子を読んで──」 「では、桜の姫もお誘いするのだっ」 「いや、紫‥‥‥桜は大人しくしている方が良いようだし‥」 「では、一言ご挨拶に参るのだっ」 そう言い終わるや否や、妖月は廊下を駆けて行く。 「ぁ、おい妖月っ」 桜が、慌てて追いかける。 「紫苑様」 呼び掛けたのは、紫苑の式部──葵だ。 「桜姫様の所へ向かわれるのですか?」 「ぁ‥、ぁぁ」 そうですか、とにこやかに相槌を打ち、 「では、私は書庫へ行って参ります」 葵は御辞儀をして、廊下を歩いて行った。 前へ |次へ |
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