《MUMEI》

「桜の姫ーっ!」




 妖月は、御簾を掲げて、するり、と中に滑り込んだ。




 当然、紫苑は驚いている。何の前触れもなしに、妖月が現れたのだから。




「妖月──遊びに来たの?」




「うむっ、ようやく少し暇が出来たのだ。──おお、それでな」




 妖月は、懐から札を取り出してひらひらと振る。




「それで──狐叉(こさ)にこの札を届けるよう言われていたのだ」




 それは、妖月が紙術によって作った札である。 紙術とは、彼女が師に習ったもの──紙に言霊を乗せる特種な術で──これを使えるのは、今は妖月だけだ。

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