《MUMEI》 「ご苦労様、妖月」 紫苑は差し出された札を手に取り、眺める。 「どこに貼ればいい?」 「私がやるのだっ」 妖月は再び札を手にし、ぴょんっ、と飛び上がると──鬼門に位置した壁の上部に貼り付けた。 「これで安心なのだっ」 妖月は笑って言い、紫苑が読んでいた草子を覗き込む。 「ふむ──桜の姫は難しい書もお手の物なのだな──」 「ぇ、そう‥かな」 「うむっ、そうなのだっ」 妖月もまた、今話し掛けている相手が紫苑であるとは、まだ気付いていない。 前へ |次へ |
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