《MUMEI》

「ぁぁ、君のお陰だ」




 そう言われて、何だかくすぐったくなった。




『‥止せ。くすぐったくなる』




 アゲハ君がそう言ったのが、分かるような気がした。




「──?」




 手を‥握られた。




 たった、それだけの事なんだけど‥。




「───────」

「どうした‥?」

「ううんっ‥何でもない‥から」




 何でもない‥。




 でも‥こんな風に手を握られるのは初めてで。




 ドキドキ‥してしまう。

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