《MUMEI》

ルカさんはゆうこママに、入ってもいい?とやんわり尋ねた。


「これから同伴なんだけど、お客様が少し遅刻しちゃうみたいなのよ。悪いけど、少しお邪魔しててもいい?」


ゆうこママは、もちろんよ!と明るく答える。心なしか少し、はしゃいでいるようにも見えた。


「今日はなんだか賑やかネ!ヨッシーも来てるのよ!!」


ゆうこママの言葉にルカさんは目を大きく見開いた。


「義仲君が?」


名前を呟いてから、ルカさんは真剣な顔をして、ぐるっと店内を見回す。

そして、カウンターのスツールに腰掛けている義仲と、目が合ったようだった。

義仲はニッと口元に笑みを浮かべた。


「どーも、ルカさん。久しぶり、だよね」


ルカさんも妖艶にほほ笑み、そうね…、と答えた。


「最近、顔見せなかったじゃない?」


「まあね〜、俺もそろそろ落ち着かないとさ」


「高校生のセリフじゃないわよ、それ」


楽しそうな会話が、ふたりの間でポンポン続く。まるで、慣れているように。

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