《MUMEI》

「…おはよう。」


「…おはよう…ございます…。」


酷く頼りない小さな小さな声で理沙ちゃんが返事をした。


理沙ちゃんは凄くかわいらしい女の子で、


真面目な女の子。


こんなにかわいいのに、


翔太が初めての彼氏だったらしい。


…ホントのホントに好きになれた人以外とは、


付き合いたくなかったらしい。


それなのに出会って2週間で翔太と付き合ったってことは、


それだけ翔太に何かを感じていたんだろう。


理沙ちゃんが感じている種類の物とは少し違うかもしれないけど…、


僕も似た類の物を翔太に感じていた。


だから今の理沙ちゃんを見ると、


凄く凄く苦しい…。


「…行こうか。」


「…はい。」


僕は一緒に車に乗ることを勧めたけど、


理沙ちゃんはそれを拒んだ。


1人にするのは心配だったけど…、


理沙ちゃんはどうしてもと言って聞かなかった。










ザーッ!!









…バカヤロー。
泣きたいのはこっちだよ。

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