《MUMEI》

「‥術‥?」




「‥‥‥ぁぁ‥」




「‥あの書を使われたのか」




「あの書‥?」




 桜が、声音を低める。





「あの書‥‥‥と‥いうのは‥」




「禁書となっているものだ。陰陽寮に保管されていたが‥如何にして手にされた‥?」




「如何に、と‥言われても‥‥‥」




 桜は、極当たり前にそれを持ち出して来たのだ。




 それが、禁書であるなどという事は全く知らずに。 ‥知るはずがなかった。




「‥すまん‥‥‥だが私は‥‥‥」




「──姫様」




「っ‥?」

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