《MUMEI》

「やはり──流石は陰陽師だな──」




 須泱がいなくなってから、桜が呟いた。




「でも──何でいきなりきたのかなぁ、須泱──知らないはずなのに」




「──狐叉か‥?」




「狐叉?」




「ぁぁ──何やら言いたげにしていただろう?」




「うん──」




「これが他の者にばれないといいがな──」




「そうだよね‥」




「──ぁぁ‥」




「紫苑様」




「ぁ‥ぁぁ、今行く」




 葵に呼ばれ、桜が立ち上がる。





「紫苑」




「ん‥」




「また──夜来てくれる?」




「──ぁぁ」

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