《MUMEI》
誕生日プレゼント
(…え? …あれ?)


目を開けると、天井が見えた。


柔らかいベットに、暖かい毛布。


「…あれ?」


(昨夜、忍が俺に変な事を言って…)


そこから、記憶が無かった。


「起きたか」

「忍、俺に何をした!」

「食後のホットミルクに一服盛っただけだ。副作用はない。安心しろ」

「はぁ!?」

「丁度最近新しい睡眠薬が開発されてな。なかなかいいデータが取れた」

「な…!」

「今日は俺の誕生日だからな。一日早く誕生日プレゼントとしてお前を好きに扱わせてもらった」

「俺の意志は!」

「無視で」

「…昨日、俺に言った事は?」


それまで即答していた忍に初めて間があった。


(まさか、…本当に!?)


焦る俺を見て、忍が笑顔で言った。


「エイプリルフールって知ってるか?」

「何だそれ」

「嘘をついてもいい日の事だ」

「まさか、昨日って…」


(嫌な予感)


「昨日、四月一日はエイプリルフールだ」

「一発殴らせろ忍!」

「嫌だ」


そしてその日も、俺の拳が忍に届く日は無かった。


(嘘にしてもタチが悪すぎる!)


俺の怒りは春休みが終わるまで続いた。

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