《MUMEI》

「お前、変わったな…」
「えっ///」
「母親らしい姿になってるじゃないか」



小さな子供の頃は可愛らしかったのに、思春期になったとたん分かりやすいくらい反抗的になり、俺や家族を避けるようになった。

その頃のアキラは何かと言えば子供っぽく反抗してきて、俺に何も言わずに家を飛び出して行ってしまった。


その日の晩に大学で同期だった笹山から”キミの可愛い弟を預かっている”という連絡が入った。

笹山は外面はいいものの、俺はあいつの内面を知っていたから”弟をすぐに帰せ”と言ったのだが、すぐに電話を切られてしまい、それ以来こちらからの連絡がつかなくなってしまった。

それから、たまに笹山から来る電話から伝わってくるアキラの様子はどこも変わらないようだったので、家では事を穏便に済ませたいというのもあってからか、自業自得だとそのままにしておいた。

両親は俺にしか感心が無く、それもアキラが出ていった原因のような気もしていた。



「あんなガキだったのに…」
「昔の事じゃないか…」

小さい子供は俺の腕から降りるとアキラの足下に駆け寄り、俺とアキラの顔を心配そうにキョロキョロと見つめていた。

「…ケンカなの?」

アキラは下から見上げていた子供を抱き上げると『違うよ…大丈夫』と言って子供の額にキスをしていた。

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