《MUMEI》 「綺麗だね、月──」 「ぁぁ──」 「桜──白栩と蹴毬したんだって?」 「少しな──。彼‥なかなか手強いぞ」 「うん、白栩強いよね──」 「彼は薬師なのにな──」 「ただの薬師じゃないんだよ?」 「何‥?」 「実はね──」 「──何なのだっ?」 「わ‥!?」 紫苑が、飛び上がりそうになる。 小刻みに震えながら、辺りを見回す。 「おお──すまんのだ、姿消しを解くのを忘れて‥‥‥、むっ‥? あれっ──解けないのだ」 そんな声を聞く内、紫苑は気付いた。 「妖‥月‥?」 前へ |次へ |
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