《MUMEI》

僕たちに続くように、


皆が翔太に別れを告げた。


僕は1人うずくまっていた。









「もう一緒に将棋…
できないなぁ…。」









誰だかわからない。


でもその言葉を聞いた時、


涙が止まらなくなった。


スーツはもう…


涙で濡れてしまった。


誰もが悲しみを味わい、


やるせない気持ちだっただろう。


そんな中で翔太の両親は、


口論をしていた。


「…どこでバイクなんて買ったんだか。」


「あなたが一緒に暮らしてればこんなことにならなかったのよ!!」


「それはお前も同じだろう。」


「私のせいにするの!?」










なんだろう…?


この気持ちは…?


この人たちは、


今ホントにそんなことを考えてるのか…?











「何でこんな子に育ったんだか…」











その言葉を聞いた時、


この気持ちの正体が怒りだってことな、


ようやく気付いた。


ふと理紗ちゃんを見ると、


立っていられない程のショックを受け崩れ落ち、


泣いていた…。


美紀がそれを支えてる…。











僕は、


頭で考えてから行動することが多い。


試合中もそうだ。


会話をしてる時、


テレビを見てる時、


常に頭の中では次の展開を予測するのが癖だった。


だから、










久しぶりだった。










何も考えずに、










怒りのままに動いたのは…










「ふざけんな!!!!」

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