《MUMEI》 ザーッ!! 止むことを忘れたかのようにいつまでも降り続ける雨の中に、 僕はいた。 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」 力いっぱい叫んだ。 悔しさで自分のことを上手くコントロールできなかった。 叫び終わると、 立つ力さえなくなったかのように、 その場にしゃがみこんだ。 「くそっ!!くそっ!! 何でだよ!! 何でだよ!!」 地面を叩いてそう言った。 急に雨が当たらなくなった…。 雨音は聞こえているのに…。 振り替えると美紀がいた。 傘を差して、 僕に雨が当たらないようにしていた。 「…」 美紀は何も言わず、 悲しそうな顔をして僕を見ていた。 美紀も悲しい気持ちは同じなのに… ヤマも恭介もそこにいた。 ありがとう… 心配してくれたんだね… でも、 お願いだから、 今は、 泣かせてください…。 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」 美紀はそっと僕を抱き締めた。 ホントに… 涙は枯れないんだね… 翔太? この雨はホントにお前の涙なの? だとしたら僕は、 その涙を止めることはできないよ… 「クロさん…。」 泣き続ける僕を呼ぶ声が聞こえた。 僕は顔を上げ、 声がする方を見た。 「一緒に来てもらえませんか…?」 傘を差した理紗ちゃんが、 僕にそう言った。 理紗ちゃんの涙は、 止まっていた…。 前へ |次へ |
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