《MUMEI》

 ──夜更け。




 桜は、まだ寝付けずにいた。




(‥くらくらする‥)




 紫苑と話している時から、彼女は妙な怠さを感じていた。




(‥つけが回ってきたか‥?)




 ここの所、桜はかなり動き回っていた。




 紫苑の体があまり丈夫ではない事は、十分心得ているつもりだった‥のだが。 知らぬ間に、彼女は羽目を外し過ぎてしまっていたのだ。




(‥いかん‥‥‥明日は儀があると蓮宮が言っていた‥)




 明日までには何とかせねば、と‥桜は床から出、薬を取りに向かった。




 ‥だが。




 廊下を出て二、三歩の所で‥彼女は動けなくなってしまった。

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