《MUMEI》

「ぼくは、峯さんを恨んでいました。」

全ての峯さんを。


「私の計画の誤差は君が居たことだ。君が、私の猫を先生に見立てた。」


「違います、先生は望んだんです。」


「あの女を少しずつ回復させたね?」


「…………先生が望んだんです。」

先生がおっしゃった。




『私は近々死ぬんだ。夢で見た、艶子が死にたいと言うんだ。峯君もきっと嬉しいだろうね、峯君は私を疎ましく思っている。

死の世界の空は何色なのだろうか、君が誘導して呉れるんだろうね?

……私の愛は不毛だ。どうしたって艶子には届かない。』

先生は、愛していた。
艶子さんを、
其の娘の松子さんも。
松子さんへの愛は艶子さんで在る晶代さんを愛するが故の選択だったのだ。




「私は、艶子を愛したかっただけだ。」


「貴方が晶代さんを愛せなかった結果です。」

晶代さんを先生は救いたかった。先生は、晶代さんに峯さんを殺させた。


「私は被害者だよ。」


「早く、眠ってください。」

ぼくの指先を見て、気付いたようだ、峯さんの胸にはぎらりと光る刃が頭を出していた。

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