《MUMEI》

ザーッ!!










『行って来い。』


そう言ったくれたヤマたちに後を任せ、


僕たちは火葬場には行かず車の中にいた。


車内には僕と美紀の2人。


理紗ちゃんの下手くそな運転の後を、


僕たちはひたすら付いていった。


「…大丈夫?」


助手席に座る美紀が僕に尋ねる。


僕は泣きながら頷く。


「ごめんね。」


そう言いながら美紀は、


運転する僕の濡れた髪をハンカチで拭いていた。


理紗ちゃんの車は明らかに帰り道を辿っている。


気付いていたけど、


僕はひたすら付いていった。


長い時間をかけ、


僕たちが付いていった先は、


翔太と理紗ちゃんが2人で暮らしていた部屋だった。


「…どうぞ。」


僕と美紀は部屋に案内された。


「…ちょっと待っててください。」


僕たちにタオルを渡し、


理紗ちゃんは別の部屋へと行ってしまった。


僕たちが待っていた部屋は、


皆で麻雀をしてたリビングのような場所。


皆が囲んでいたテーブルや、


理紗ちゃんが座っていたソファー。


なんだか…


あの時とは随分違って見える…。

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