《MUMEI》 アディスタビル。 それは、 ヤマや翔太が好んで良く履いていた靴だった。 「…」 僕には訳がわからない。 この新品のスタビルを見せられて、 いったいどうしてほしいのか…。 「…これ、」 理紗ちゃんが口を開いた。 「これ、 昨日警察の人が来て渡してくれたんです…。」 …警察? 「あの日…、 翔ちゃんが持っていた物です。」 「翔太が…?」 「…はい。」 「…」 「皆さんが、 大学に行って試合をした日、 翔ちゃんが言ってました。」 大学… 秀皇に行った日か… 「ヤマトさんは、 いつかプロになるって。」 …そんなこと言ってたのか。 確かに、 あの時のヤマは凄かったけど… 「…そして、 たぶんクロさんも。」 「僕が?」 「はい。」 僕が… プロ…? 「そうなったら… 自分もプロで一緒にやりたい。 そう言ってたんです…。」 翔太… 「だから、 これからプロを目指す為に一生懸命練習するって… だからあの日、 その為に翔ちゃんは靴を買いに行ったんです。」 理紗ちゃんが急に僕に頭を下げた。 「バカなお願いってわかってます!! でもお願いします!! 翔ちゃんを… 翔ちゃんをクロさんと一緒にプロの世界に連れて行ってあげてください!!」 …決意。 その言葉の意味をこの時より肌で感じたことはなかった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |