《MUMEI》

 桜の容体は、みるみる内に回復してきている。




 思っていた以上の回復力に、白栩も、女房達も皆驚いた。





「紫苑様──」

「?」

「丈夫になられましたね──」

「ん‥、熱位大した事では無いし──」

「ご無理はならないで下さいね」




 そう言った蓮宮に、桜はにっこりと笑い、頷く。




「ぁ‥桜はどうしておるのだ‥?」




「姫様でしたら──恐らく文机に向かっておられます。お呼び致しましょうか?」




「ぃゃ、大丈夫だ」




 桜は答え、ゆっくりと体を横たえる。




(やはり無理が祟ったな‥)

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