《MUMEI》
バレンタインデー。つづき
「だから白くてプニッとした可愛い小さな女の子だよっ」
「もうちょっとヒント無いの、下の名前だけでも」
「えーと…下駄箱で見てた子とか居るみたいだけど…」
「それを早く言えっつーの!」

服を脱がされながら、はるちゃんの探しているらしい女の子の情報を、頭が悪いなりにも一生懸命みんなに伝えた。

「パンツかわいー///」
「ねぇ、私の知り合いの知り合いで当日下駄箱に行ってたのが居るって」

スカートをみんなにめくられて遊ばれている最中、何か有力な情報をマリちゃんが言ってくれていた。

「知り合いの知り合いって、連絡出来るのかな?」
「呼び出してもらえればいいんだけど…今って授業中だし」

しょうがないんで、この教室の中でペタ座りするとみんなでケータイで写メったりして時間まで遊んでいた。



「外の庭ってウチ(男子校)と違って花が多いんだねぇ〜」
「そっちはどんなんなの〜」
「行ってみたいかも〜…やっぱやめとくわ、男子校でしょ」
「こっちには噴水があるよ」
「見た〜い♪」

教室の中に居るのに飽きたみんなで中庭に出ると、あれやこれやと一緒に見て回った。

「ちょっとかなたは何しに来たんだよ〜」
「だってマリちゃんが言ってくれたんでしょ、その知り知り合いに」
「言ったらね〜ちょっとザワっちゃってるらしいの」


”はるちゃんが女の子を探してる”

ってだけでもう学校では噂が立っちゃったらしい。


それであのバレンタインの日に男子校の1年の下駄箱ではるちゃんにチョコを渡した女の子だと思われる子を知っている人がいて、そのはるちゃんの探してる女の子と同じクラスの人に連絡が行って、その人が写真を撮って送ってくれたんだって。

ちょっとピントがボケボケだけど分かる、はるちゃんが好きそうな柔らかいお餅みたいな可愛い女の子が写った写真があった。

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