《MUMEI》

「本当っ‥?」




「うむっ」




「良かった──」




「紫苑の君‥?」




 妖月が、紫苑の顔を覗き混む。




「どうしたのだ‥?」




「ごめん‥」




「泣いているのか‥?」




「っ‥」




「おい‥?」




「桜ぁ‥」




 紫苑が、桜にしがみつく。




 余程心配だったのだろう──暫く泣きやまなかった。




 妖月は二人の邪魔をしないようにと──帳の外に座っていた。




 だが、静かにしているのは眠っていたからなのだが。

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