《MUMEI》

 こくり、と須泱が頷く。




 すると、桜が口を開いた。




「‥ええと‥‥‥」

「───────」

「‥ぃゃ、やはりやめておく」




「‥?」




 須泱が目を細める。




「姫様──」




「ではっ、私は、これでっ‥」




「───────」




「そうだっ──」




「?」




「今度はいつ来るのだ?」




「ご用があれば、何時でも」




「妖月は毎日のように遊びに来てな──色々振り回されておる」




「そうか──何ならば控えるように──」




「ぃゃ、彼女が来ると喧しくはあるが楽しくもある」




 桜の返答に、須泱は僅かに笑みを浮かべた。

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