《MUMEI》 「──よいしょっ‥、お邪魔するのだっ」 妖月が縁側を上って、現われた。 「妖月──あまり喧しくするな‥」 「おおっ‥申し訳ないのだ‥」 「ぃゃ、私達は構わんのだが‥‥‥他の者達‥‥‥がな?」 「ところで桜の姫、ええと‥‥‥」 「何だ‥? お前にしてはやけに重々しいな」 「うむ‥近頃狐叉の体調がかんばしくないのだ」 「狐叉の‥?」 「須泱に付いてもらっているのだがな? 何というか──」 「心配するな、彼女は何年もこうして生き続けておるのだから──」 「うむ‥‥‥」 前へ |次へ |
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