《MUMEI》 「ただいま。」 僕が家に帰ると、 母さんがリビングから出てきた。 怒ってるような… 悩んでるような… 複雑な顔をしている。 どうしてなのかは、 なんとなくわかっていた。 「小太郎今日ね… 学校から電話があって…」 「知ってる。」 母さんの言葉を遮ってそう言った。 「…卒業できないって言われたんでしょ。」 … 『夏休みになるまで遅刻すんなって。 火曜日あと1回休んだらアウトだから。』 … …わかってた。 今日学校を休めば、 卒業できなくなることくらい。 だけどそれでも、 最後に翔太に会いたかったんだ。 「…今日父さん何時ごろ帰ってくる?」 「いつもと変わらないと思うけど…。」 「そっか…」 今日も遅いのか… 「帰って来たら、 ちゃんと話すから…」 「…わかった。」 母さんはそれ以上何も言わず、 リビングに戻った。 僕も自分の部屋に行った。 前へ |次へ |
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