《MUMEI》

部屋に戻り着替えていると、


「…兄ちゃん。」


優が入って来た。


「…どした?」


「…怒られたの?」


「いや?
何で?」


「…なんとなく。」


「ふっ…」


僕はついつい笑った。


「久しぶりにゲームでもしよっか。」


「え!?
いいの!?」


「いいよ。
兄ちゃん久しぶりに優と遊びたいから。」


「やった!!」


「何がいい?」


「パワプロ!!」


「パワプロ?
優弱いじゃん。」


「兄ちゃんがハンドボールやってる間に強くなった!!」


「ホントか?
よし、
じゃあやろっか。」


「うん!!」


晩ご飯ができるまでの間、


優と一緒にゲームをした。


「お!!
牽制もちゃんとやるようになったんだな。」


「当然!!
ランナーが川崎だからね。」


「ふ〜ん…」


さすが僕の弟。


ゲームってもんをわかってる。


だけど僕に勝つのは、


「え!?」


ちょっと早いかな。


「ツーワンから!?」


…理論だけじゃダメ。


裏をかかないと。


「また負けたぁ…」


「たはは…」


ごめんな。
兄ちゃん手加減するの嫌いなんだ。

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