《MUMEI》

「…小太郎。」


「…はい。」


「お前明日誕生日だったな…。」


…そうか。
…そういえばそうだった。


「明日で二十歳。
つまり大人になる。」


「…」


「…だけどまだ明日じゃない。


あと40分。


お前は子どもだ。」


「…」











「俺は…


お前が子どもの内に、


お前のわがままを聞いてやりたい…。」










「え…?」










「好きに生きろ。


人間何歳からだってやり直せる。


一生懸命やって、


それでもダメならしょうがない。


でも父さんは、


…お前を信じてる。」











止まったと思っていた涙が、


また溢れてきた…。









「ありがとうございます!!」


「…ちゃんと母さんにも言うんだぞ。」


「はい!!」










19歳最後の夜…


僕は新しい道を歩き始めることを決めた。


これまで以上に大変なことはわかってる。


そして僕は、









「父さん…」


「ん…?」


「もう1つ…
お願いがあるんだ。」











最後のわがままを言ったんだ。

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